ひとりごと

つきみおが長文でひとりごとを言います

日記(まとまりのない本の感想文)

9/5朝は涼しいが蒸す。夜、遠くに輝かしい雷。

今週は長いな。早く帰りたいと思うが順調に社畜になっているのでまだやるべきことがあるのではないか他の人が仕事してるのに帰っていいのか…と思ってしまったりする。堂々と帰っていけるメンタルがないとなと思う。昼休み中母とLINEしていたら、読んでいる本がおもしろいといってページの写真を送ってきた。北大路公子が猫の代わりにキノコなどを育てる本だった。こらえなければならないと思っていたがそう思えば思うほど笑いが堪えられなくなり、会社の隅で肩を震わせて笑った。あまり人と本の話をするのは得意ではなくて、それはどうしてもマジメになってしまうからだと思うのだが、その点母とする本の話はまじめなこともあるが大体はこんなに面白い本があったとかこんなにつまらん話を読んだとかいう本当にたわいのないもので、こういう話ができるのはけっこう幸せなことだと思う。
本ね。読書が別に趣味というわけではないのだと思う。私は好きな本を読むのであって本を読むのが好きなわけではない。きちんと何かをおさめる人というのはある種の「雑食性」を持っていて、本にしろ映画にしろ絵にしろ音楽にしろ、なんでも手を出してみるというところがある気がするが、私はその点、全てのことについて超偏食である。だから別に本当は絵が好きなわけでも音楽が好きなわけでも本が好きなわけでもないのに、そこのところをあまりうまく理解してもらえないため、私は周りからなんとなく「本が好きな人」「音楽が好きな人」「絵が好きな人」などなどと思われておりそれがとても申し訳なくまたおそろしくもある。「思っていたのと違った」と失望されるのがこわいのだ。
今日は堀江敏幸を読み終わった。そんな気はしていたのだが、あまりピンとこなかった。気持ちがささくれている今日この頃なので、あまり品のよい静かな物語を求めていないのかもしれない。田舎で丁寧な暮らしをすることに憧れるような時期に読んだらよかったのかも?それぞれの短編に出てくる人物や場所などが別の短編の中で別の視点から語られる瞬間があり、そのたびに少しずつ雪沼という場所が立ち現れてくるという、空間の生成の仕方は心地よかった。全体に、あまり意外性がないというか、人生の切り取り方が凡庸な気がした。別に何か意外な考え方を求めているわけではないが、自分の中にあったのに自分では触れることのできなかった部分に触れてもらうという経験を求めているところはあるのだと思う。だから、残念ながら私にとって今回の本の中には「ああ、まあそりゃそうでしょうな」ということしかなく、あまり満足できずに終わってしまったのだろう。もう少しゆっくりとした心で向き合ったらまた違うのかもしれない…何か私の汲み取れなかった魅力が…。ただ、『レンガを積む』の最後、演歌と浪曲以外聴かない安西さんに蓮根さんが何かちがう種類の音楽を選んでやるシーン、「自分の趣味とはかけ離れているのに、おや、と感じるような曲」として選ばれたのがフィッシャー=ディースカウの「美しき水車小屋の娘」だったのはなぜなのだろうか。私はあまり演歌に明るくないので、もしかするとそこに堀江さんは何か共通する響きを見てとったのかもしれない。まあ確かに言われてみればあの歌心にあふれた素朴で憂鬱で明るい物思いの音楽は演歌的なのかもしれない。フィッシャー=ディースカウの歌にはある種の演歌的抑揚があるかもしれない。そうなのかも…。でなければそこでとっておきの盤として出してくる道具がフィッシャー=ディースカウの「美しき水車小屋の娘」というのは…「ああ、まあそりゃいいよね」で終わってしまう気がする…。(もちろん私はフィッシャー=ディースカウが好きだし美しき水車小屋の娘もものすごく好きだが。まあ彼が歌うシューベルトだったら冬の旅を推す。)いや確かに初心者にはいいかも…。いいと思う、それがとてもとても思い入れのある音盤なのかもしれない、そういうのあるよね、みんながいいって言ってるけどそんなこと関係なく美しさを見出せるもの…私にとってのチェリーのような…。でも、もちろんそりゃディースカウがかかってきたらハッとすると思うんだけど、小説の中でそれが登場するとどうもこう、「あー、ね」となってしまうというか…。でもなんというか全体的にそういう印象の物語だったのよ…いや私の読み方が…合わなかっただけだよね。堀江敏幸の音楽エッセイや美術エッセイを読んでみたいと思っているが(駒井哲郎が好きなので)、もう少し待つことにする。まあ私みたいな何事も中途半端な人間につまらんとか言われても意味不明だよな。私がつまらんからつまらんかったんだよね。ごめん。文学を解さない人間で…これ以上何を言ってもダメそう。町田康『ギケイキ』を読みはじめる。
そういえば最近パルムの安納芋を箱買いしてしまったため毎晩食べてしまっている。ヤバそう。何かが。